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早稲田で読む・早稲田で飲む 第11回 巨大図書館の書庫で遊ぶ 南陀楼綾繁

ぼくがときどき早稲田に行く目的はふたつ。一つは云わずと知れた古本屋巡りだが、もう一つは、早稲田大学の図書館で調べ物をするためである。何しろココぐらい、使い勝手のイイ図書館は少ない。まず蔵書数がすごい。学部の図書館や教員図書室なども含めた全蔵書数は450万冊。このホトンドがコンピュータで検索できる。このデータベースは数年前からインターネットでも公開しているので、あらかじめ調べてメモをつくっておけば時間の節約になる。
 閲覧も自由で、一部の貴重書を除けば、雑誌も書籍も書庫に入って直接手に取るコトができるし、コピーもコピーカードを買えば取り放題。試験期間以外であれば学部生は書庫にまで入ってこないので、静かな空間で過ごす事ができる。国会図書館の混雑ぶりに比べれば、天国みたいなトコロだ。ふだんはナンのありがたみもないのだけど、こういうときは早稲田を卒業しておいてヨカッタと思う(現金な)。
 調べ物に疲れたら、二階の参考図書コーナーあたりの閲覧席に座って一休み。近くには、一般誌から大学紀要までの雑誌最新号が開架されてるので、気になる記事をパラパラ読む。 この図書館、ぼくの在学中には影もカタチもなかった。ぼくが使っていたのは、1882年(明治15年)にできたという古色蒼然たる図書館で、建物の雰囲気は良かったが、使い勝手は最悪だった。ほとんどすべての蔵書が閉架書庫にあり、いちいち請求票に書いて出さなければならなかった。卒論を書くために通っていたときは、数冊の本を見るために一日ツブレることもしばしばだった。いまの図書館ができたのは、卒業の翌年の1991年。いま、学生だったら毎日通うのになァ。
 図書館は卒業生にもオープンだと書いたけど、一カ所、オフリミットがある。それは、書庫の隣にある「閲覧個室」だ。大学院生と教員だけが使える、鍵のかかる個室で、一度借りてしまえば朝から夜まで利用できる。図書館ができた当時、大学院に行った先輩が「あそこはイイぞぉー」と自慢してたっけ。ドアから中が見えないので、異性を連れ込んでケシカラヌ行為に及ぶ輩もいたという噂も……(あくまでウワサっす)。いつかは入ってみたい場所である。
 土曜日も開館してるので、いくつか調べたいコトをメモしておいて、朝から籠るときもある。昼飯に出るのもメンドくさいので、夕方までは我慢して、外に出てから早稲田通りの裏にある〈いもや〉で天ぷら定食を食べる。そのあと腹ごなしに、古本屋を回るのが楽しみなのだ。図書館と古本屋がいっしょに楽しめるなんて街、他にそうそうないだろう。

【付記】学外者が早大図書館を利用するためには、残念ながら紹介状が必要だ。しかし、館内に入るだけなら、30分以内の見学が可能だ。個人ならインフォメーションカウンターへ、複数人数での見学を希望する場合は、予め図書館総務課(tel:5286-1652)に問い合わせを。
書庫には入れないけれど、一見の価値はありますよ。
http://www.wul.waseda.ac.jp/CLIB/visitor-j.html

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プロフィール
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)
1967年、出雲市生。1986-90年、早稲田大学第一文学部に在学。現在、ライター・編集者。著書に『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、編著に「チェコのマッチラベル」(ピエブックス)がある。

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ナンダロウアヤシゲな日々  http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/
by sedoro | 2005-10-19 14:12 | 早稲田で読む・早稲田で飲む
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